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アメリカ政府は3月31日、EV車(電気自動車)の購入に最大7,500ドル(約100万円)の税制優遇措置を導入すると発表。日本国内で採取・加工した重要鉱物によるEV用電池も優遇の対象に含まれますが、最終的に北米地域で組み立てられた車体のみが対象となります。同措置は4月18日から導入され、日本メーカーはアメリカでの販路拡大において厳しい状況が続く見込みです。
バイデン政権は昨年8月、気候変動対策に巨額の予算を盛り込んだ法案を成立させ、EV車の普及に向けて購入者が税制優遇の対象となる条項を制定しました。31日にアメリカ財務省は同措置の詳細を発表し、「優遇の対象は北米地域で組み立てられたことが前提条件となり、EV車に欠かせない重要鉱物と蓄電池についても条件を定める。重要鉱物の抽出と加工はアメリカと我が国がFTA(自由貿易協定)を結ぶ数か国に限定し、蓄電池の部材は北米地域で製造・組み立てされたものが優遇の対象となる」と説明。バイデン政権は日本をFTAから除外していましたが、日米両政府が3月28日に重要鉱物の供給網を強化する協定を締結したことを受けFTA相当とする考えを表明しました。今回の措置はEV車の供給で高いシェアを誇る中国への対抗策とみられ、アメリカ側は自動車産業の振興につなげたい考えです。
アメリカ政府はFTAの要件を一部緩和しましたが、「北米での製造車を控除対象とする前提条件は変更しない」と強調。日本のほか韓国やヨーロッパの自動車メーカーは販売条件が不利になるとして、これまでもアメリカ側に見直しを求めてきました。日本車メーカーはアメリカでの現地生産に向けて設備投資を加速させていますが、日本製EV車は税制優遇の対象外となるため市場で苦戦を強いられます。