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アメリカ国務省は10日、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエル軍について言及。同軍は米国製の武器を使用しており、「国際人道法に違反する形で侵攻を続けるならばアメリカは軍事支援を行わない」と警告しました。ガザ南部のラファには100万を超える民間人が避難していますが、イスラエル軍はイスラム組織ハマスの拠点を標的として連日にわたり空爆を実施。カタールとエジプトの協力のもとバイデン政権は停戦を求めていますが、イスラエルとハマスは「恒久的な平穏」について大きく主張が異なり協議は平行線が続いています。
バイデン大統領は10日の会見で、「ガザにおける民間人への被害拡大を防がねばならない。イスラエル軍がラファでの地上戦に踏み切った場合、我々は武器の供与を停止する」とコメント。国務省は政府の見解を資料にまとめ、アメリカ議会へ提出しました。報告書は早急に軍事支援を停止する効力はありませんが、政府は民間人の保護を優先させるためイスラエル側への圧力を強めた形です。バイデン氏はイスラエルのネタニヤフ首相と6日に電話会談を開催し、「アメリカ政府は民間人に大きなリスクと危険をもたらすラファ侵攻を支持しない」と表明。一方のネタニヤフ氏はハマスの撲滅推進を改めて強調し、停戦に至った場合もいずれ最終決戦を行う意向を示しました。
今回アメリカ政府がまとめた報告書はイスラエルからの情報をもとに作成しましたが、武器による被害規模など肝心なデータは共有されなかったと報道官は説明。ガザで多くの死傷者が確認されているにも関わらず人道支援を怠っていると指摘し、イスラエルが主張する市民保護の取り組みに重大な疑義を抱かせると述べました。
バイデン政権は今年2月、ガザへの攻撃に対する批判の高まりを受けて国家安全保障に関する覚書に署名。国務省は国際法の範囲内で武器を供与する方針ですが、頑なに停戦を拒否するイスラエルの姿勢にブリンケン国務長官は苦言を呈しました。ブリンケン氏は今月1日にイスラエルを訪問し、ネタニヤフ首相らと停戦について協議を開催。しかし大きな進展は見られず、ガザ地区で暮らすパレスチナ市民からは食料や物資の供給だけでなく安全な生活保障を求める声が強まっています。