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アメリカ政府は14日、中国製のEV(電気自動車)について現状の4倍に当たる100%の関税を課すと発表。半導体や太陽光パネルなど総額180億ドル(約2.8兆円)分の輸入品を対象に関税を上げる、事実上の経済制裁を導入します。バイデン政権は今回の課税に関して、不公正な貿易に対する制裁を定めた「通商法301条」に基づく措置と説明。一方の中国側は対抗措置を示唆し、アメリカからの輸入品にかかる関税を大幅に引き上げる方針です。この動きを受けて野党(共和党)のトランプ前大統領は、「対応が不十分だ」とバイデン政権を非難。アメリカの労働力を守るため、課税対象をさらに拡大すべきと指摘しました。
今回定められた対象品目はEV用のリチウムイオン電池や半導体のほか、鉄鋼やアルミなど製造に必要な金属素材も含まれます。措置の施行にあたりバイデン大統領は、「中国政府の援助を受けて生産された安価な製品が過剰に流通している。粗悪な製品が他国の専門企業を倒産に追い込み、その流れがアメリカにも蔓延しつつある。不公平な取引により、我が国の労働力を失ってはならない」と説明。戦略的で対象を絞った措置であると述べ、関税の引き上げに関する正当性を主張しました。その上でバイデン氏は、「中国とは衝突ではなく公正な競争を望んでいる」とコメント。11月に行われる大統領選挙を前に、国内の雇用を守る施策として中国への圧力を示した形です。
また、大統領選挙で返り咲きを目指すトランプ氏は今回の関税引き上げについて、「対応が遅い」と政権を批判。「多くの中国製品を対象にしなければ目立った経済効果は見られない」と述べ、より厳しい制裁措置を提言しました。