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アメリカ国防総省は21日、ガザ沖合の米国領埠頭で支援物資が滞っていると発表。沿岸の仮設桟橋に搬入した569トンの支援物資がパレスチナ住民に届かず、ラファなどの避難地域は困窮が続いています。アメリカは国連やイスラエル政府と協力し安全な輸送ルートを確立すると述べ、早急に支援物資を届ける方針です。
国防総省は同日の会見で、「先週末はガザ地区の住民が桟橋から支援物資を運搬するトラックを妨害した。パレスチナ人は支援物資の分配に不満があり、避難民に届けられていないと反発している。国連からは新たな輸送ルートが確立するまで、物資の供給を停止するよう要請があった」と報告。アメリカに対し疑念を抱く市民感情の抑制は難しく、公平な物資の配布に時間がかかる見通しを示しました。また、国防総省の報道官は「支援物資が避難民に届けられたのか」との質問に対し、「現時点では実現できていない」とコメント。「物資は陸上の集積場に保管されていたが、21日に代替ルートが確立されたため倉庫へ移送している」と説明しました。
アメリカ中央軍は5月9日に人道支援のためガザ地区に向けて援助物資を空中から投下しましたが、市民の間で奪い合いとなり死傷者も報告されています。米国防総省と国連は避難民に物資を届けたいとしていますが、ガザ地区内での保管場所に限りがあるため供給量の調整が必要と指摘。アメリカ政府はキプロスの倉庫で保管している支援物資を段階的にガザ沿岸へ届ける方針です。
イスラエルのラファ軍事作戦変更を受けてアメリカ側は態度を軟化
アメリカ政府はパレスチナ自治区ガザ南部の都市ラファでのイスラエル軍による軍事作戦に反対していましたが、民間人の犠牲を減らす方針を受けて態度を軟化。バイデン大統領は人道支援を優先するイスラエルの作戦変更を支持し、恒久的な停戦実現に向けて尽力すると述べました。
ラファでは多くのパレスチナ市民が身を寄せており、およそ80万人が他の場所への避難を強いられています。バイデン氏はかねてからイスラエルに対し、「ラファで全面攻撃を行った場合は全ての武器供与を停止する」と警告してきました。ネタニヤフ首相率いるイスラエル首脳も軍事政策をめぐり足並みが揃わず、戦時内閣のガンツ前国防相は「6月8日までに人質を取り戻せなければ政権を離脱する」と示唆。ネタニヤフ氏は停戦に合意した場合もイスラム組織ハマスの撲滅を目標に掲げていますが、各国首脳らは強い懸念を表明しています。イスラエルを支持するバイデン大統領は民主党進歩派から批判されており、ラファへの侵攻を食い止めることで主導的な立場を維持したい考えです。