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トランプ前大統領(共和党)が不倫の口止め料を不正に処理したとされる事件の裁判で、ニューヨーク州地裁の陪審団は現地時間の30日に業務記録を改ざんした罪で有罪判決を下しました。同氏は当初37件に上った容疑のうち34件で起訴され、アメリカ大統領経験者として初の有罪事例となります。量刑は7月11日に言い渡される見通しで、11月の大統領選挙にも大きな影響が及ぶと政治アナリストらは指摘。支持率が拮抗しているバイデン大統領(民主党)にとって追い風となりますが、選挙の鍵を握る無党派層の動向が注目されます。
トランプ氏は2016年に行われた大統領選挙前、かつて顧問弁護士を務めていたマイケル・コーエン氏を通じて業務記録を改ざん。選挙戦への影響を食い止めるため、口止め料として不倫相手の女性に13万ドル(約1,950万円)を虚偽の名目で支払った罪に問われています。トランプ氏は不倫と不正への関与を一切否定していますが、ニューヨーク地裁はすでに罪を認めている元側近らの証言は信ぴょう性が高いと判断。一般市民から選出された12人の陪審員は29日から評議を開始し、全員一致でトランプ氏に有罪判決を下しました。
報せを受けたトランプ氏は記者団に対し、「腐敗したバイデン政権下における不当な判決であり断固抗議する」と主張。「11月5日の大統領選挙で国民により正当な判断が下されるだろう」と述べ、改めて返り咲きへの意欲をあらわにしました。トランプ氏は最長4年の禁錮刑が科せられる対象となりますが、今回のケースは罰金または保護観察処分が言い渡されると法律の専門家は予測。仮に収監された際も選挙活動が認められ、大統領選挙で勝利した際は就任が認められます。
一方のバイデン陣営は、「市民によって正当な判断が下された。アメリカに憲法を超越する存在はいない」と判決を評価。対する共和党のジョンソン下院議長は、「米国史において恥ずべき日になった」と有罪判決を批判しました。また、今回の判決について、ホワイトハウス報道官はコメントを控えています。