5月のアメリカ雇用情勢 就業者は前月比27万人増加で市場予想を大きく上回る

5月のアメリカ雇用情勢 就業者は前月比27万人増加で市場予想を大きく上回る

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DOL(アメリカ労働省)は7日、今年5月における雇用統計を発表。市場の予想を大きく上回り、堅調な雇用情勢が続いていると報告しました。景気動向を最も反映する非農業部門の就業者数は、前月から27万2,000人増加。当初の就業者は4月の16万5,000人から約2万人多い18~19万人を見込んでいましたが、政府の予測をおよそ9万人上回りました。雇用者の増加はコロナ禍に突入した2021年1月以来、41か月連続となります。また、失業率は前月から0.1ポイント上昇し4.0%で推移。4%台の失業率は2022年1月以来、28か月ぶりとなりました。
証券会社チャールズ・シュワブの首席投資エコノミストを務めるリズ・アン・ソンダーズ氏は、「表面的には堅調だが一般世帯の支出は家庭により大きな差がみられる」と説明。直近1か月の統計ではフルタイムの就業者が62万5,000人減少した一方、パートタイムの労働者が28万6,000人増加し家計がひっ迫している世帯が増えたとの見方を示しています。同氏は今後の雇用情勢について、「景気の変化が訪れる前兆として、一時的に正規雇用者が減少する傾向にある」と指摘。これまでの統計や前例を基に、包括的な体制で失業率を抑える施策が必要と述べました。新規雇用者が増加している職種は医療や政府機関のほか、レジャー関連や接客業に集中。特に医療機関は新たに6万8,000人を採用し、今後もさらなる雇用増加が予想されます。
賃金に関しても予想を上回り、平均時給は前月比0.4%増で前年と比べ4.1%上昇。資産運用を専門とするプリンシパル・アセット・マネジメント社の首席アナリスト、シーマ・シャー氏は、「新規雇用者が爆発的に増えただけでなく賃金の上昇も想定外の勢いで伸びている。この高水準がいつまで続くかは未知数だが、多くの投資家は神経を尖らせて状況を見守るしかない」とコメント。中央銀行にあたるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が推進する金利緩和政策とは異なる方向に進んでいるため、政府は利下げに消極的な姿勢を示しています。FRBは年内に3回の政策金利引き下げを示唆していますが、時期については物価の動向を見極めながら来週開催される会合で判断する方針です。会合後の12日にはパウエル議長が今後の金利引き下げの方針について会見を行う予定で、具体的なインフレ対策に関する発言が注目されます。

参考元:CNBCThe Associated PressREUTERS