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ブリンケン国務長官は10日、イスラエルを訪問しネタニヤフ首相と会談を開催。パレスチナ自治区ガザでの戦争終結に向けて、5月にバイデン大統領が提示した停戦案の受け入れを改めて要求しました。停戦案は敵対するイスラム組織ハマスにも要請する方針ですが、交渉は難航が予想されます。
8回目の中東訪問となるブリンケン氏は、イスラエルへ赴く前にエジプトを往訪。首都カイロでシシ大統領と会談し、停戦の協力を仰ぎました。その後、ネタニヤフ首相との会談を終えたブリンケン氏は記者団に対し「イスラエルは停戦案に概ね同意しているが、ハマスは難色を示している。中東全域と緊密に連携し、ハマスに対し停戦案を受け入れるよう圧力をかける」と説明。シシ大統領とは停戦の条件について合意したと述べる一方、ネタニヤフ首相との会談内容については明言を避けました。
こうした中、国連安全保障理事会はバイデン氏が提案した停戦案を支持する決議を採択。停戦案の詳細はハマスにも伝えられましたが、組織の高官らは「条件がイスラエル側に偏っている」と反発しています。一方で「公平な停戦が実現するならば、仲介国のエジプトやカタールに協力する」とコメント。具体的な条件などをめぐり、受け入れについて寛容な姿勢も見せました。
国務省のミラー報道官は11日に会見を開き、「ブリンケン氏は早急な停戦と全ての人質解放に向けた提案をネタニヤフ首相に伝えた。ガザの戦後統治計画についても協議を行い、イスラエルとレバノンにおける国境沿いの平穏に向けてアメリカ政府は協力を惜しまない」と強調。レバノンの親イラン派民兵組織「ヒズボラ」の台頭を懸念し、戦闘拡大を防ぐ重要性を指摘しました。
ブリンケン長官は11日、イスラエルの戦時内閣から離脱を表明したガンツ前国防相と会談を開催。ヨルダンやカタール首脳らとも協議を行い、訪問中にガザの統治や復興計画について構想を固める方針です。また、イスラエル政権内ではハマスの撲滅を掲げる極右派の存在感が高まり、交渉による停戦の実現は難航が予想されます。