アメリカのB1・B2ビザ(商用・観光ビザ)申請について徹底解説
Contents
B1ビザとB2ビザの特徴とは?
B1ビザとB2ビザは総称して「Bビザ」と呼ばれ、アメリカが発給するビザの中では最も一般的であり、利用範囲が広いビザと言えるでしょう。B1ビザは主に短期の商用目的としたもので、B2ビザは主に観光を目的としたものです。米国政府にB1、B2ビザを申請した後に承認され、無事に発給されるとVISAの“Visa Type/Class”の欄には“B1/B2”と記載されます。この記載により、米国内での短期商用と観光の両方が行えることになります。
Bビザは米国に住んでいる家族または親戚宅や、友人宅へ訪問するために申請する方が多いようです。また、Bビザで米国内に短期間滞在し、商談や面談、会議や現地調査などを集中的に行う方も多く見受けられます。ただし、Bビザの所有者は米国内で就労することは禁じられており、給与などの報酬を得ることは出来ません。米国内においてアルバイトを含む就労や労働、米国内で企業や店舗などの投資を目的とする場合は、Eビザの申請が必要となります。
渡米する際に何かしらのビジネスが関与すると思われる方は、事前にその内や期間を確認するようにしましょう。
B1・B2ビザの申請資格
B1・B2 ビザを申請する際は、領事官に対しINA(移民国籍法)に基づいた資格の証明が求められます。INAの条項 214(b)では、全てのB1・B2申請者をアメリカ移住希望者と仮定しています。Bビザ申請者はアメリカ移住希望者に該当しない旨を示すため、以下の内容を証明する必要があります。
- 渡米目的が観光・短期ビジネス・知人宅への訪問など一時的な滞在であること
- 渡米計画が明確で、滞在期間は定められた日数以内であること
- アメリカ滞在に必要な資金の証明が可能であること(銀行の残高証明書、預金通帳のコピーなどを提出)
- ビザ申請時の居住地がアメリカ国外であること
- 社会的かつ経済的な保障がある国・地域の市民であり、目的遂行後は確実に帰国または出国する意志があること
以上の項目に加え、前提としてアメリカへの入国が合法かつ正当な理由である事実の証明が求められます。ビザ申請の際は領事官との面接が必要となるため、上記の項目に関する質問に対し明確に返答できるようご準備ください。
なお、個人事業主(個人従業員)・使用人および船舶などの乗組員(クルーメンバー)も、指定の条件を満たすことでB1ビザの申請が認められます。
Bビザの長所と短所
Bビザの長所は短期間で取得できることが挙げられます。駐在員として渡米する際に必要となるEビザや転勤で必要となるLビザ等と比べると、Bビザの申請はシンプルで取得は容易であると言えます。アメリカは日本を含む友好国に対し、VWP(Visa Waiver Program)と呼ばれる「ビザ免除プログラム制度」を導入しています。同制度の対象国となる市民はビザを取得せずに渡米が認められ、最長90日間のアメリカ滞在が可能となります。当該の方は渡航前にESTA(エスタ)申請が必須となり、滞在目的は観光または短期商用のみに限られます。
一方、Bビザの短所はアメリカでの活動範囲に制限があることが挙げられます。主にビジネスを対象としたB1ビザの場合は現地での就労が認められないため、会議・視察・商談・買付け等に限定されます。また、観光を対象としたB2ビザの場合もアルバイトを含む就労は認められません。
2023年現在、VWPは40の国と地域が対象となり、ESTA(エスタ)申請の増加に伴いBビザの需要は各国で減少傾向にあります。
ビザ免除プログラム(VWP:Visa Waiver Program)について
以下の国籍に該当する方はビザ免除プログラムの対象となり、短期商用や観光などの目的で渡米する際はビザを取得せずに最長90日間の滞在が認められます。ビザ免除プログラムを利用する際は事前のESTA(エスタ)申請が条件となり、期限が有効なパスポートの所持が必須となります。
ビザ免除プログラム(VWP)の利用条件
① | 期限が有効なICチップ搭載のパスポートを所持していること。 |
② | 渡航前にESTA(電子渡航認証制度)の申請を済ませ、「渡航認証許可」を取得していること。 |
③ | 渡航目的が観光または短期商用であり、滞在期間が90日以内であること。 |
ビザ免除プログラム(VWP)対象国一覧 (2023年10月現在)
- 日本
- オーストラリア
- オーストリア
- ニュージーランド
- ハンガリー
- ノルウェー
- ベルギー
- ブルネイ
- チリ
- デンマーク
- アンドラ
- イタリア
- ラトビア
- アイスランド
- アイルランド
- ポルトガル
- リヒテンシュタイン
- 韓国
- サンマリノ
- シンガポール
- スロバキア
- チェコ
- スロベニア
- エストニア
- フィンランド
- フランス
- ドイツ
- ギリシア
- リトアニア
- ルクセンブルク
- マルタ
- モナコ
- スペイン
- スウェーデン
- スイス
- 台湾
- イギリス
- オランダ
- ポーランド
- クロアチア
- イスラエル
- (順不同)
ビザ免除プログラム(VWP)の利用条件「滞在期間90日以内」に関する注意点
ビザ免除プログラム(VWP)対象国の市民が渡米する際は、ESTA(エスタ)申請のみで最長90日間のアメリカ滞在が認められます。滞在期間中は隣国のカナダやメキシコへの渡航も可能ですが、それらも含めて90日以内とすることが利用条件として定められています。90日を超えてアメリカに滞在する場合はBビザの取得が求められます。
ESTA(エスタ)は観光や短期商用を目的として渡米する方が対象となり、原則としてアメリカ国内での滞在が条件となります。国境を超える際はCBP(アメリカ合衆国税関・国境警備局)の入国審査官より、渡航目的や滞在期間の証明を求められる場合がありますのでご注意ください。
また、アメリカからカナダへ空路で渡航する際は、事前にeTA(イータ)の申請も必須となります。eTA(イータ)はESTA(エスタ)と同様の渡航認証制度で、主に観光や短期商用を目的としてカナダへ入国する方が対象となります。陸路および海路でカナダへ入国する方はeTA(イータ)を申請する必要はありません。
なお、ESTA(エスタ)の有効期限は2年間で、90日以内の滞在に限り複数回の渡米が認められます。
ESTA(エスタ)の有効期限に関する詳細は「ESTA(エスタ)の有効期限と再申請について」をご確認ください。
B1ビザを取得して活動できる内容
短期の商用目的でB1ビザを取得した方、またはビザが不要であるESTAにて事前認証を済ませ、ビザ免除プログラムを利用してアメリカへ入国をされる方は、 下記に該当する項目の範囲であれば米国内での活動が可能となります。
- ビジネス上における契約の交渉
- 取引先との商談、会議、面会など
- ビジネス上の専門的な会議や大会、会合などへの出席
- ビジネス上の目的で行う調査、見学、視察など
- 商品や資材などの買い付け
- 米国内の裁判所での証言
B2ビザを取得して活動できる内容
主に観光を目的としたB2ビザを取得した方、またはビザが不要であるESTAにて事前認証を済ませ、ビザ免除プログラムを利用してアメリカへ入国をされる方は、 下記に該当する項目の範囲であれば米国内での活動が可能となります。
- 米国内および米国諸島内の観光、アクティビテイ
- 米国内にいる家族、親族、友人、知人宅などへのホームステイ
- 米国の医療機関での受診や治療または施術などを受けること
- 米国内での博覧会や展示会、イベントなどへの参加
- 米国内の社交団体や友好団体などが主催する集会、交流会などへの参加
B1・B2ビザで滞在できる期間は?
ビザの有効期限とはアメリカへの入国審査を受けることができる期間であり、米国に滞在可能な期間という意味ではありません。従ってビザの有効期限と米国で滞在できる期間は一致しませんので、くれぐれもご注意ください。
米国で滞在できる期間は入国した地の入国審査官に委ねられており、渡航者の目的に応じて適正な滞在期間を判断した上で許可がおります。 一般的な例ですが、一回の渡米において、6か月を超えて滞在することはできません。ただしB1ビザの場合は入国管理局の判断により、ビジネス上で滞在が必要と認められた場合は、1年間滞在できるケースもあります。それ以上の期間も米国内で滞在を希望する場合は、米国滞在中に延長の申請をすることも可能です。延長が認められると基本的に6か月更新されますが申請が却下されるケースもあります。また、ビザはアメリカへの入国を必ずしも保証しているものではなく、特定の目的のためにアメリカへの入国申請ができる資格があるとアメリカ領事館が判断したと言う事です。
入国可能かの判断はESTAのケースとおなじく、最終的には空港の入国審査官に委ねられます。米国内にどのくらいの期間滞在できるかは一律に決められているものではなく、現地の入国審査官により決定されることを、あらかじめ理解しておきましょう。
B2ビザの場合、有効期限内であれば何度も渡米できる?
ビザの有効期限内であれば何度も渡米できます。「渡米は何回まで」といった制限は設けておりません。しかし米国に頻繁に渡航し、長期間にわたり滞在をした方の場合ですと、米国に移住する意思がないという旨を明確に示し、移民審査官に理解してもらう必要があります。
滞在した後は帰国するなり米国外の居住地に戻る意思があることを証明することがとても大切です。米国に移住する意思がなく、旅行者であることを入国審査官に対し理解を得られない際は、次回の入国審査の際にアメリカへの入国を拒否されるケースも想定されます。また、頻繁な渡米者に関しては観光目的であっても、その都度説明を求められる場合もございます。頻繁に渡米をされる予定がある方は、滞在目的、滞在予定期間、米国との将来的な関わりなどを総合的にとらえ、ご自身にあったビザを選択するようにしましょう。
B1・B2ビザに必要な書類と申請方法の手順
B1・B2ビザの申請方法は大使館・各領事館によって異なります。在日米国大使館および在大阪・神戸米国総領事館、在沖縄米国総領事館の場合と、在札幌米国総領事館、在福岡米国領事館の申請方法をご確認ください。また、子ども(14歳未満)と高齢者(80歳以上)は領事官との面接が免除され郵送にてBビザの取得が可能ですが、以下に該当する方は対象外となります。
- 現時点で日本に居住または滞在していない方
- 過去のESTA(エスタ)申請で「渡航認証拒否」の履歴がある方
- イラン、イラク、北朝鮮、スーダン、シリアいずれかの二重国籍を持つ方
- 日本のほか、アメリカを含む他の国や地域にて逮捕歴がある方
Bビザを申請する際は以下の内容を確認し、早めに手続きを行いましょう。
在日米国大使館および在大阪・神戸米国総領事館、在沖縄米国総領事館で申請を行う場合
Bビザ(B1・B2)申請の際は以下の書類提出が求められます。
- 期限が有効なICチップ搭載のパスポート
- 過去10年以内に発給され失効となったパスポート
- 証明写真1枚(5cm × 5cmのカラー写真、背景が白で6か月以内に撮影したものに限る)
※眼鏡着用の写真は認められません。 - オンライン事前審査DS-160で取得した申請IDとバーコード
※DS-160はオンラインにて登録を行い、該当ページを出力してください。以前に利用したDS-160は使用できません。年齢を問わず必須となりますので、家族で申請する際は全員分の申請IDとバーコードを提出してください。 - 面接の予約日時が記載されたWebページの出力
日本国籍以外の方は、外国人登録証か在留カードのコピー(両面)の提出も求められます。
また、過去に重大な犯罪歴がある方は上記に加え、事件における判決時の謄本と英訳をご用意ください。
在札幌米国総領事館、在福岡米国領事館で申請を行う場合
在札幌米国総領事館、在福岡米国領事館でBビザを申請する方も在日米国大使館および在大阪・神戸米国総領事館、在沖縄米国総領事館と同じ書類が求められますが、提出方法は郵送に限られるため注意が必要です。
各領事館は少なくとも面接3日前までに必要書類が到着するよう推奨しており、面接予約は日にちに余裕をもった上での手続きが求められます。面接日を予約した後は数日以内に領事館から日本郵政のレターパック封筒が届きますので、必要書類を同封し速やかに郵送してください。
※1週間以内に面接予約日を指定した方は、レターパック封筒での郵送対象外となります。速達での郵送か、領事館入口の警備員へ直接手渡しにて提出してください。
※各領事館での受け付けは、休館日を除く月~金曜日の8 : 45~17 : 30となります。必要書類は面接前日の正午までに届くよう、速達またはレターパックで郵送手配を行ってください。
在札幌米国総領事館の郵送先
在札幌米国総領事館ビザサービス
〒064-0821 札幌市中央区北1条西28丁目
※封筒の裏側に面接予約日・予約時間の記載をお願いします。
在福岡米国領事館の郵送先
在福岡米国領事館ビザサービス
〒810-0052 福岡市中央区大濠2-5-26
※封筒の裏側に面接予約日・予約時間の記載をお願いします。
ESTA申請で「渡航認証拒否」となった方はBビザの取得を
DHS(アメリカ国土安全保障省)およびCBP(アメリカ合衆国税関・国境警備局)では観光や短期商用を目的として渡米する方に対し、Bビザ(B1・B2)ではなくESTA(エスタ)の取得を推奨しています。ESTA(エスタ)の申請は日本を含むVWP(ビザ免除プログラム)参加国の市民に限られ、パスポートの提示のみで最長90日間の滞在を認める制度です。しかし、何らかの理由により申請結果が「渡航認証拒否」となった方は、ESTA(エスタ)を利用しての渡米が認められません。該当の際は申請した内容を改めて確認し、「ESTA(エスタ)申請で渡航拒否された理由と対処方法について」を参照のうえBビザの取得をご検討ください。一般的にビジネス目的での渡米はB1ビザ、観光やホームステイでのアメリカ滞在はB2ビザの取得が求められます。また、BビザはESTA(エスタ)と異なり申請から取得まで1か月ほどかかり、領事官との面接も必要です。渡航日と渡米目的を明確にして、早めに申請手続きを行いましょう。
ビザの申請は最寄りの在日米国大使館・領事館へ
アメリカへ渡航するために必要となるビザに関する申請は、下記の5か所の大使館および領事館にて受け付けております。一般的なビザ申請の場合、現在お住まいのご住所から最寄りの窓口に赴くことを勧めておりますので、お近くの大使館または領事館の場所をご確認ください。
東京都/在日米国大使館へのアクセス
郵便番号 | 〒107-0052 |
住所 | 東京都港区赤坂1-10-5 |
電話 | 03-3224-5000 |
北海道/在札幌米国総領事館へのアクセス
郵便番号 | 〒064-0821 |
住所 | 北海道札幌市中央区北1条西28丁目 |
電話 | 011-641-1115 |
大阪府/在大阪・神戸米国総領事館へのアクセス
郵便番号 | 〒530-8543 |
住所 | 大阪府大阪市北区西天満2丁目11-5米国総領事館ビル |
電話 | 06-6315-5900 |
福岡県/在福岡米国領事館へのアクセス
郵便番号 | 〒810-0052 |
住所 | 福岡県福岡市中央区大濠2丁目5-26 |
電話 | 092-751-9331 |
沖縄県/在沖縄米国総領事館へのアクセス
郵便番号 | 〒901-2104 |
住所 | 沖縄県浦添市当山2-1-1 |
電話 | 098-876-4211 |
【2024年】在日米国大使館・領事館の休館日
在日米国大使館・総領事館は、アメリカと日本の休日・祝日が休館日となります。日本のカレンダーで毎週土日も休館となるため、お問い合わせや面接の際は下記の日にちをご確認ください。また、在日米国大使館・領事館の休館日はコールセンターも営業を行っておりません。
※諸事情により、下記以外も予告なしに休館となる場合があります。
祝日の名称 | 日にち |
元日 | 1月1日(月) |
成人の日 | 1月8日(月) |
マーティン・ルーサー・キング牧師の日 | 1月15日(月) |
建国記念日(振替休日) | 2月12日(月) |
ワシントン誕生日 | 2月19日(月) |
天皇誕生日 | 2月23日(金) |
昭和の日 | 4月29日(月) |
憲法記念日 | 5月3日(金) |
みどりの日 | 5月4日(土) |
こどもの日(振替休日) | 5月6日(月) |
戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー) | 5月27日(月) |
ジューンティーンス | 6月19日(水) |
独立記念日 | 7月4日(木) |
海の日 | 7月15日(月) |
山の日 | 8月12日(月) |
労働祭 | 9月2日(月) |
敬老の日 | 9月16日(月) |
秋分の日(振替休日) | 9月23日(月) |
コロンブス・デー / スポーツの日 | 10月14日(月) |
退役軍人の日 | 11月11日(月) |
感謝祭 | 11月28日(木) |
クリスマス | 12月25日(水) |
その他のアメリカ非移民ビザ
- E-1ビザとは?
- 米国J1ビザ(インターンシップ制度)についての最新情報
- アメリカの通過・トランジットビザ(Cビザ)の概要と申請方法について
- アメリカ学生ビザ(F-1/M-1)の概要と申請方法について
- アメリカK-1ビザ(婚約者ビザ)について徹底解説
- アメリカ就労ビザ(H-1/H-2ビザ)の概要と申請方法について
- アメリカの報道関係者ビザ(Iビザ)の概要と申請方法
- アメリカ使用人ビザの概要と申請方法について
更新日 : 2024/09/07