ロサンゼルスで治安が良いエリアと悪いエリアは?安全対策も解説
更新日:2025/11/09
ロサンゼルスへの観光・留学を計画している方にとって、現地の治安情報は最も重要です。日本とは大きく異なる環境で現地の治安状況を正確に把握することは、安全で充実した海外旅行や生活を送る上で欠かせません。ここでは、ロサンゼルスの治安情勢から実際に起こった犯罪事例、治安が悪いエリア・良いエリア、そして観光客が知るべき安全対策のポイントまで詳しく解説します。
ロサンゼルスの治安情勢
ロサンゼルスは犯罪発生率が高く治安が悪い都市として認識されてきましたが、2000年代初めと比較すると近年の犯罪件数は減少傾向にあります。しかし、エリアによって治安状況が大きく異なるため注意が必要です。観光地周辺は人が多く比較的安全ですが、依然として犯罪発生率が高いエリアも存在します。また、日本人が多く住むエリアもあるため、適切な情報収集と対策を行えば安心して滞在することが可能です。
ロサンゼルスで実際にあった事件・犯罪例
ロサンゼルスで実際にあった事件や犯罪をまとめました。ここでは、特に日本人が被害に遭った具体的なケースを解説します。これらの事例を通じて、現地での安全対策に役立てください。
日本人学生カージャック射殺事件(1994年)
1994年3月25日、ロサンゼルス近郊のサンペドロにあるスーパーマーケットの駐車場で2人の日本人留学生(いずれも19歳)がカージャック犯に襲われる事件が発生しました。2人は至近距離から頭部を撃たれたことでその場で命を落とし、犯人は車を奪って逃走。まもなく逮捕されましたが、この凄惨な事件は日米両国で大きく報じられ、銃社会であるアメリカの課題を改めて浮き彫りにしました。
ロス疑惑(1981年)
1981年11月18日、ロサンゼルス市内の駐車場で実業家の三浦和義氏と当時妻だった一美さんが何者かに銃撃され、一美さんは重体となり約1年後に死亡しました。当初は強盗による犯行と見られていましたが、後に保険金殺人の疑いで三浦氏が逮捕・起訴されます。日本の裁判で無罪が確定されましたが、事件から27年経った2008年に米国当局がサイパンで三浦氏を逮捕。三浦氏がロサンゼルスに移送された直後に拘置所で死亡する衝撃的な結末を迎え、日本中を巻き込む一大スキャンダルに発展した事件として知られています。
イングルウッド吉野家駐車場 射殺事件(2014年)
2014年11月9日未明にイングルウッド市の牛丼チェーン吉野家の駐車場で、短期滞在中の日本人男性(当時40歳)が何者かに頭を撃たれて殺害された事件です。被害者の男性は車から降りて容疑者とみられる人物と会話した後、至近距離から銃撃されました。当時は強盗目的の犯行だと指摘されていましたが、現在も犯人は特定されずに未解決となっています。事件が起こったイングルウッド市はロサンゼルス国際空港に程近く、空港の近隣エリアの治安問題と、観光客を狙った凶悪犯罪の恐ろしさを示す事件として報道されました。
語学学校生殺害事件(2005年)
2005年5月8日、ロサンゼルス近郊のパサデナにあるアパートで、語学学校に通っていた当時21歳の女性が遺体で発見されました。ロサンゼルス市警は、被害者女性の交際相手であったアメリカ人男性を殺人の容疑で逮捕しました。遺体には刺し傷など複数の外傷があり、2人の間には交際をめぐるトラブルがあったと報じられています。海外での生活で、親しい間柄の人物が加害者となりうる悲劇的な事件でした。
サンペドロ日本人観光客 暴行事件(2023年)
2023年10月9日、サンペドロ地区の路上で意識不明の状態で倒れている日本人観光客とみられる男性が発見された事件です。発見された当時、男性は頭部に外傷を負っており、強盗などの暴行被害に遭った可能性が指摘されています。男性は日本の通貨が入った財布や旅行用の洗面用具を所持していましたが、パスポートなどの身分証明書がないため、身元不明のまま病院に搬送されました。その後、ロサンゼルス郡当局や在ロサンゼルス日本国総領事館が被害男性に関する情報を呼び掛ける事態となります。この事件は、観光客が予期せぬ重大な犯罪に巻き込まれる危険性を示した最近の事例です。
ロサンゼルスで治安が悪いとされるエリア・地区
ロサンゼルスには、観光客や留学生が避けた方がいい危険な地域が存在します。これらのエリアは犯罪発生率が極めて高く、地元住民でさえ避けて通る場所です。以下では、ロサンゼルスで代表的な危険地域を詳しく紹介します。
スキッドロウ/Skid Row
ダウンタウンのリトル・トーキョーから非常に近い場所にある通りです。スキッドロウには、ホームレスだけでなく、麻薬中毒者や銃を持った人、ナイフを振り回す人などがいるので大変危険です。この地区はロサンゼルスで最も治安が悪いエリアとして知られており、全米でも有数のホームレス集積地となっています。約5万人のホームレスが生活しており、薬物依存や精神的な問題を抱えた人々が多数います。昼間はもちろん、夜間も危険なので車でも絶対に立ち入らないようにしましょう。また、大通りからも近いため、観光中にうっかり迷い込まないよう、事前に地図で位置を確認しておくことが重要です。
コンプトン/Compton
コンプトンは、1990年代にギャングスタラップを代表するアーティスト“トゥーパック(2Pac)”の流行で世界的に知られるようになった地域。現在も治安の悪さで有名です。この地区はロサンゼルス郡の南部に位置し、アフリカ系アメリカ人とヒスパニック系住民が多数を占めています。ギャング活動が盛んで、薬物取引や銃器犯罪が頻発しており、殺人事件の発生率も非常に高い水準にあります。近年は多少改善されているものの、依然として観光客が訪れるべき場所ではありません。特に夜間は、地元住民でも外出を控えている地域です。
サウス・ロサンゼルス/South Los Angeles
サウス・ロサンゼルスには低所得者が多く、治安の悪い地域として知られています。以前は”サウス・セントラル”と呼ばれていましたが、2003年にイメージ改善のため改名されました。しかし、実際の治安状況は依然として深刻で、ギャング同士の抗争や薬物関連の犯罪が多発しています。経済的困窮から犯罪に走る住民も多く、強盗や窃盗の被害に遭う可能性が高い地域です。美味しいメキシコ料理店も多数ある地域ですが、公共交通機関などを利用して通る際は注意を払いましょう。
イースト・ロサンゼルス/East Los Angeles
イースト・ロサンゼルスは、ヒスパニック系住民が多数を占めており、一部のエリアでは治安の悪化が深刻な問題となっているエリアです。特にボイル・ハイツ周辺ではギャング活動が活発で、薬物取引や暴力事件が頻発しています。この地域では特にギャング同士の縄張り争いが激しく、無関係な住民や観光客が巻き込まれる犯罪が多発しています。メキシコ系の文化が色濃く残る興味深い地域ではありますが、観光目的での訪問は控えるべきでしょう。
ロサンゼルスで治安が良いエリア・地区
ロサンゼルスには、観光客や留学生が安心して滞在できる治安の良いエリアも多数存在します。これらの地域は警備体制が充実しているため犯罪発生率も低く、過ごしやすい環境が整っています。以下では、代表的な安全エリアを詳しく紹介し、各エリアの特徴や魅力もあわせて解説します。
サンタモニカ/Santa Monica
サンタモニカは、美しいビーチと高級住宅地で知られるロサンゼルス屈指の安全エリアです。警察が常時パトロールを行っており、街全体が観光客向けに整備されています。また、“サンタモニカ・ピア(Santa Monica Pier)“や”サード・ストリート・プロムナード(Third Street Promenade)”などの主要観光スポットでは、警察やアンバサダーが巡回し高い安全性が保たれています。ただし、深夜(特に午後10時以降)になると人通りは急激に減少し、大通りから外れると危険なため注意が必要です。
ビバリーヒルズ/Beverly Hills
世界的に有名な高級住宅街であるビバリーヒルズは、ロサンゼルスで最も治安の良いエリアのひとつです。富裕層が多く住んでおり、私設警備員や監視システムが充実しています。“ロデオ・ドライブ(Rodeo Drive)“などの高級ショッピングエリアにも各店舗に私設警備員が配置され、高いレベルの安全性を確保しています。犯罪発生率は極めて低く、日本人観光客にとっても安心して滞在できるエリアと言えるでしょう。高級ホテルやレストランも多く贅沢な滞在を楽しめますが、宿泊費や食事代は他のエリアと比較して高額になるため注意が必要です。
ウエストウッド/Westwood
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のキャンパスがあるウエストウッドは、学生街として発展した治安の良いエリアです。日本人留学生も多く、日本料理レストランや日本語が通じる店舗も点在しています。映画館やカフェ、美術館なども充実しており、若い世代の観光客には特におすすめのエリアです。宿泊費も比較的リーズナブルなので、長期滞在にもぴったりと言えるでしょう。
パサデナ/Pasadena
ロサンゼルス郡の北東部に位置するパサデナは、歴史ある美しい街並みと治安の良さで知られています。元日に毎年行われる花の祭典”ローズ・パレード(Rose Parade)”が世界的に有名な街です。中産階級の住民が多く、コミュニティの広さが治安の良さにつながっています。オールド・パサデナ地区には、レストランやショップが集中しており、観光しやすい環境が整っています。カリフォルニア工科大学もあり、学術的な雰囲気が漂う落ち着いた地域です。ダウンタウンからは少し離れていますが、その分静かで安全な滞在が可能です。
ロサンゼルスで治安が悪い場所の見分け方
ロサンゼルス観光で安全に過ごすためには、事前の情報収集のほかに治安の悪い場所を即座に見分けるスキルが必要です。現地の状況を的確に判断して危険を回避することで、トラブルに巻き込まれるリスクを大幅に減らせます。以下では、治安の悪い場所を見分けるための具体的なポイントをご紹介します。
1:建物の状態と街の清潔さ
治安の悪いエリアの最も分かりやすい特徴は、建物の荒廃と街の不潔さです。窓ガラスが割れたまま放置されている建物、落書きだらけの壁、ゴミが散乱している路地などは治安の悪化を示す典型的なサインと言えます。また、空き家や廃墟が目立つ地域も要注意です。このような場所は犯罪者が潜伏しやすく、薬物取引や暴力事件が発生しやすい傾向にあります。
2:人の行動パターン
街を歩く人の行動を観察することで、その地域の治安状況をある程度判断できます。綺麗な服装をした人がおらず、汚れた服やだらしない格好の人が多い地域は注意が必要です。また、昼間からお酒や薬物の摂取によりふらふらしたり、騒ぐ人が多く、歩行者が警戒して早足で歩いているなどの兆候も治安の悪さを示しています。正常な商業活動が行われていない地域や、店舗が早い時間に閉まってしまうエリアも危険です。
3:フリーウェイや電車の路線の近く
フリーウェイや電車の路線に近接する地域は、治安面でのリスクが高い傾向があります。これらの交通インフラ周辺では犯罪者が逃走しやすいため、強盗や窃盗事件が頻発しやすい環境となっています。特に、フリーウェイの高架下や電車の駅から離れた線路沿いのエリアは人目につきにくく、ホームレスの住処となったり薬物取引の場所として使用されることが多いです。また、これらの地域は騒音が音を消してくれる効果があるため、結果として犯罪者を助ける形となり治安の悪化を招いています。宿泊施設を選ぶ際はこれらのエリアを避け、線路沿いの道路や高架下の歩行を控えましょう。
4:アプリの活用(Citizen)
現代のロサンゼルスでは、スマートフォンアプリを活用した治安情報の収集が重要な安全対策となっています。特に“
シチズン(Citizen) “というアプリは、周辺の犯罪情報や緊急事態を通知してくれるため、観光客にとって非常に便利なツールです。さらに、近隣で発生した事件(強盗、銃撃、火災など)の詳細情報や現在位置との距離が表示され、危険な地域を事前に把握することが可能です。また、ユーザーが投稿する現場の写真や動画により、リアルタイムで治安状況を確認できます。ただし、情報の真偽を見極める必要があるため、テレビやラジオなどで最新情報を確認しながら活用しましょう。
ロサンゼルスの夜間の治安は?
ロサンゼルスの夜間の治安は、昼間と比較して大幅に悪化する傾向があります。特に午後10時以降は多くの地域で犯罪発生率が上昇し、観光客が巻き込まれるトラブルも増加します。そのため、ハリウッドやサンタモニカなど治安が良いとされる観光地でも、夜間は警戒が必要です。また、夜間では公共交通機関の利用も危険性が高いため、地下鉄やバスでの移動は極力控えるのが賢明でしょう。
ロサンゼルスで犯罪に巻き込まれないための安全対策
ロサンゼルスで安全に過ごすためには、事前の準備と現地での適切な行動が不可欠です。以下では、観光客や留学生が実践すべき具体的な安全対策をご紹介します。これらの対策を徹底することで、犯罪に巻き込まれるリスクを大幅に減らすことができます。
現金や貴重品の管理
現金は必要最小限に抑え、大金は絶対に持ち歩かないようにしましょう。クレジットカードやデビットカードを主要な決済手段として活用し、現金はチップの支払いや緊急時のみに使用する程度に留めてください。パスポートなどの重要書類はホテルのセーフティボックスに保管し、外出時はお酒を飲まない限りコピーを携帯するだけで十分です。また、高価な時計やアクセサリーは身に着けず、できるだけ地域住民に馴染んだ格好で出かけましょう。
行動パターンの多様化
毎日同じ時間に同じルートを通ることは避け、行動パターンを意図的に変えることが重要です。犯罪者はターゲットの行動パターンを観察して犯行のタイミングを計るため、予測しやすい行動は危険を招きます。できるだけ人通りのある道を選んで行動し、群衆に紛れ込むようにしましょう。
周囲の状況への注意
常に周囲の状況に注意を払い、不審な人物や異常な雰囲気を感じたら、即座にその場を離れることが重要です。歩きながらのスマートフォン操作は避け、イヤホンを使用する際も片耳だけにして、周囲の音が聞こえるようにしましょう。また、見知らぬ人から声をかけられても、立ち止まらずに歩き続けることをおすすめします。特に、何か売りつけられたり、寄付を求められたりした場合は、丁寧に断って距離を置くことが重要です。
交通手段の選択
公共交通機関を利用する際は、事前に路線図を確認し、危険な地域を通らないルートを選択します。夜間は地下鉄やバスの利用を避け、タクシーまたはレンタカーでの移動を推奨します。自分で運転する場合は、車内に荷物を一切残さず、明るく人通りの多い場所に駐車しましょう。また、道に迷った場合は、先にガソリンスタンドやショッピングモールなどの安全な場所に車を停めてから地図を確認してください。
安全性の高いホテルを選ぶ
宿泊施設選びは、ロサンゼルス滞在の安全に関わるため重要です。治安の良いエリアに位置し、セキュリティシステムが充実したホテルを選択しましょう。特に、24時間フロントサービス、セーフティボックス、防犯カメラ、カードキーシステムなどが整備されているホテルが理想的です。また、ホテルの周辺環境も重要で、夜間でも人通りがあり、街灯が十分に設置されている立地を選ぶことが大切です。料金の安さだけでホテルを選ぶのではなく、安全性を最優先に考慮して選択することが快適な滞在につながります。
ロサンゼルスで犯罪に巻き込まれてしまった場合は?
万が一、ロサンゼルスで犯罪に巻き込まれてしまった場合は冷静な判断と迅速な対応が重要です。現場から逃げたり隠れたりできないと判断した際は、身の安全を最優先に考えて抵抗せず、 事件後すぐに911番通報を行い、警察に被害届を提出してください。また、記憶が鮮明なうちに事件の詳細をメモに残しておくことをおすすめします。被害状況などを控えておくことで、その後に行う手続きに役立ちます。パスポートを盗まれた場合は警察への届け出を提出した後、
在ロサンゼルス日本国総領事館 に連絡し、再発行の手続きを行いましょう。その他に、クレジットカードや携帯電話が盗まれた場合は、各会社に連絡して利用停止手続きをしてください。海外旅行保険に加入している方は、保険会社にも連絡しましょう。
アメリカ渡航・入国にはESTA(エスタ)が必要です
日本国籍者がビザを取得せずにハワイを含むアメリカへ渡航する際は、ESTA(エスタ) の申請が必要です。ESTA(エスタ)はVWP(ビザ免除プログラム)参加国の市民のみ利用できる制度で、観光または出張目的で90日以内の米国滞在を希望する方が対象となります。また、ESTA(エスタ)は年齢を問わず必要となるため、家族やグループで渡航する際は事前に全員分の申請を済ませましょう。ESTA(エスタ)を統括するDHS(アメリカ国土安全保障省)は、少なくとも出発72時間前までに申請手続きを済ませて「渡航認証許可」を取得するよう推奨しています。