グランド・キャニオン国立公園の特徴・見どころを解説【世界遺産】
更新日:2024/10/12
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グランド・キャニオン国立公園とは
アメリカ合衆国アリゾナ州に位置する世界遺産“グランド・キャニオン国立公園”は、険しい崖や広大な峡谷が生み出す圧倒的な景観で世界中の観光客を魅了しています。コロラド川の浸食作用により数百万年にもわたって形成されたこの自然の奇跡は、地質学的な歴史から見ても重要な場所として有名です。
世界遺産に登録された理由
グランド・キャニオン国立公園は、1979年にユネスコの世界遺産リストに登録されました。この壮大な渓谷(キャニオン)は、何百万年もの間コロラド川の浸食により削り取られ形成されたものです。その雄大な地形は宇宙からも確認できるほど。約20億年にも及ぶ地球の歴史が刻まれている点が、世界遺産の登録基準として認められたと言えるでしょう。何層にも重なる地層からは地球の進化過程を年表のように確認でき、大自然が作り上げてきた賜物と言っても過言ではありません。
グランド・キャニオン国立公園の特徴
世界最大規模の渓谷“グランド・キャニオン国立公園”は、約20億年もの地球史が残る世界遺産として有名です。ここではこの国立公園の気候や広さ、文化的遺産としての特徴について詳しく解説します。気候
グランド・キャニオン国立公園の気候は、季節によって大きく変化するのが特徴です。例えば、3大エリアのひとつ“サウスリム(南壁)”の気温は、夏は月平均20度前後、冬は日中でも氷点下まで下がります。昼夜の気温差も激しいため、夏は日焼け対策や重ね着ができる衣類を、冬は滑りにくいスノーブーツなどを準備しましょう。また春には突風が吹く日があるため、崖の端から離れて姿勢を低くしたまま風にさらわれないよう注意が必要です広さ
公園の面積は約4,926平方キロメートルにも及びます。なかでも、川の浸食作用や雨風の風化により約120万年にもわたって形成された峡谷(深さ約1.6キロメートル、全長約450キロメートル)が特徴です。現在もなお変化を続け、地球の地層の歴史を学べる貴重な場所となっています。文化
グランド・キャニオン国立公園はアメリカ国内でも最も古い歴史を持つ場所であり、ネイティブ・アメリカンの文化的遺産としても知られています。この地には約4000年前からネイティブ・アメリカンを含む多くの部族が居住しており、生活の場としてきました。彼らの歴史はアメリカ大陸の歴史と密接に結びつき、今もなおアメリカ合衆国内務省より与えられた自治区のなかで独自の文化、言語、及び歴史を維持し続けています。グランド・キャニオン国立公園への行き方
グランド・キャニオン国立公園を訪れる際は、まずラスベガスを目指します。日本からの直行便はないため、ロサンゼルス国際空港で乗り継ぎが必要です。飛行時間は経由地により異なりますが、10〜14時間程度見ておくと良いでしょう。航空券の料金はシーズンにより変動するため、早めの手配やオフシーズンの購入をおすすめします。ラスベガスからグランド・キャニオン国立公園までの移動方法には、シャトルバス、飛行機、レンタカーがあります。予算やスケジュールなどに合わせて選択しましょう。
グランド・キャニオン国立公園への移動手段:シャトルバス
シャトルバスツアーは、ラスベガスのハリー・リード国際空港や主要ホテルから出発します。例えば、サウスリムへ向かうランチ付きツアーの場合、所要時間は約13時間で料金は119ドルです。なお、料金はシーズンや予約時期によって変動します。シャトルバスの利用は、現地での運転が不安な方や効率よく観光スポットを見て回りたい方におすすめです。
グランド・キャニオン国立公園への移動手段:飛行機
飛行機で訪れる場合は、ラスベガスから小型機を利用します。所要時間は片道約35分~1時間。プランによってグランド・キャニオン国立公園に着陸するツアーと上空を周遊するツアーがあります。空の上から壮大な景色を一望できますが料金は約249ドル~と比較的高額なため、時間を有効的に使いたい方におすすめです。
グランド・キャニオン国立公園への移動手段:レンタカー
レンタカーでラスベガスから出発する場合、到着まで約4~6時間かかります。レンタル料金は日数や車種によって異なりますが、1日約40ドル~が目安です。なお、燃料費や保険料、駐車料金は別途必要。ルートを自由に決めて休憩などを挟みながら行動したい方や、グループ・家族旅行におすすめです。
グランド・キャニオン国立公園のおすすめスポット
グランド・キャニオン国立公園は、サウスリム、ノースリム、ワラパイ居留区(グランド・キャニオン・ウエスト)の3つの主要エリアに分かれており、それぞれに魅力と見どころがあります。ここでは3か所の特徴やおすすめ観光スポットを紹介します。サウスリムエリア/South Rim
サウスリムは、グランド・キャニオン国立公園で最も人気があるエリアです。ここにはビジターセンターや歴史的建造物、絶景ポイントが点在するハイキングトレイルがあり、幅広い層の観光客が訪れています。特に数か所あるビューポイントを結ぶハイキングトレイルは圧巻の景色の連続。訪れた際は時間の許す限り歩いてグランド・キャニオンの雄大さを全身で感じましょう。脚力に自信がない方は、各ビューポイントを巡回する無料バスの利用をおすすめします。なお、このエリアはラスベガスから比較的アクセスしやすく年中訪問可能です。
グランド・キャニオン・ビレッジ/Grand Canyon Village
サウスリム中心地にある観光の拠点“グランド・キャニオン・ビレッジ”。ここには、公園内唯一のホテルエルトバホテルやブライトエンジェルロッジなどの宿泊施設、お土産屋、飲食店が集まっています。壮大な渓谷を眺めながら頂くビレッジでの食事は、特に日の出と日没の時間帯がおすすめ。数十億年前の地層が朝日やサンセットなどに照らされる美しい景色を楽しめます。また宿泊施設を利用すれば、ベッドの中からグランド・キャニオンの絶景を独占できる特別な時間を過ごせるでしょう。
マーサーポイント/Mather Point
マーサーポイントは、グランド・キャニオン国立公園を一望できる人気のビュースポット。特徴的な「突き出した岩崖」の景観が楽しめるこのポイントは、パンフレットの表紙を飾ることがあるほど有名です。またサンセットの時間帯が特に美しい場所として知られており、陽の差し込み具合と地層の色合いが時間帯によって変わるため、訪れるたびに様々な表情を見ることができるでしょう。レストランやトイレなどの設備も充実しているので、休憩スポットとしても利用可能です。ヤバパイ・ポイント/Yavapai Point
ヤバパイ・ポイントは、グランド・キャニオンの広大な景色を一望できるビューポイント。近くには展望台を兼ねたヤバパイ地質博物館があり、展望台の大きな窓から絶景を楽しむだけでなくグランド・キャニオンの歴史についても学ぶことができます。このポイントは柵がなくグランド・キャニオンを広範囲にわたって眺められるため、パノラマ写真を撮りたい方におすすめです。また、入口にある大きな岩の前での記念撮影は観光客の間で定番となっています。ブライトエンジェル・トレイル/The Bright Angel Trail
ブライトエンジェル・トレイルは、サウスリム中心地にある最も有名なハイキングトレイルです。グランド・キャニオンの際を歩くほかのトレイルと異なり、このトレイルはグランド・キャニオンの中を進むルートになっています。途中でトンネルを通るなど冒険心をくすぐるトレイルですが、冬場は積雪と路面凍結で閉鎖されており途中までしか進めません。少し険しい道トレイルなので、特に夏場は水分補給と日差し対策を忘れないようにしましょう。ノースリムエリア/North Rim
ノースリムエリアは、グランド・キャニオン国立公園を訪れる観光客のうち10%しか訪問しないと言われています。人が少なく静かで穏やかな雰囲気が特徴です。またサウスリムより標高が高いため、夏でも涼しく過ごしやすい気候となっています。なお、5月中旬~10月中旬までの期間しか開放しないエリアなので、訪れる際は事前に確認をしましょう。ブライトエンジェル・ポイント/Bright Angel Point
ブライトエンジェル・ポイントは、ノースリムエリア内で最もアクセスしやすい絶景ポイントです。サウスリムにあるビューポイントよりも標高が高いため、圧巻のスケールで広大なパノラマを楽しむことができます。日没時に訪れた際は、キャニオンが幻想的な色に変化する様子を眺めましょう。このポイントは、家族連れやハイキング初心者にもおすすめです。ケープロイヤル・ポイント/Cape Royal Point
ケープロイヤル・ポイントは、ノースリムエリア内で最も壮大な景色を望める場所と言われています。荒々しい岩山やコロラド川の素晴らしい眺望をはじめ、火山の堆積物であるヴィシュヌ片岩の眺めは圧巻。また、断崖絶壁に開いた”エンジェルズ・ウィンドウ(天使の窓)“と呼ばれる大きな穴も見どころのひとつです。このポイントから眺めるパノラマビューは、グランド・キャニオン国立公園を訪れる人を魅了し続けています。
ポイント・インペリアル/Point Imperial
ポイント・インペリアルは、ノースリムエリア内で最も標高が高い展望地点です。このポイントでは、“マーブルキャニオン”や“マウントヘイデン”と呼ばれる、周囲が緑で彩られた尖った岩山の眺望を堪能できます。特に早朝の柔らかな光に照らされ彩られた岩石の姿は、訪れた人に忘れられない時間を提供していると言えるでしょう。ワラパイ居留区エリア(グランド・キャニオン・ウエスト)/Hualapai Indian Tribe(Grand Canyon West)
グランド・キャニオン国立公園の外に位置するワラパイ居留区は、峡谷に設置された底がガラスの橋“スカイウォーク”が有名です。ラスベガスから訪れる際に最もアクセスしやすいエリアのため、日帰り旅行先としても人気があります。このエリアは入場料がかかる2つのポイントに分かれており、メインアトラクションはグランド・キャニオンの上を駆け抜けるジップラインとヘリコプターによる観光ツアー。ジップラインはグランド・キャニオン・ウエストのサインがある場所を”Quatermaster Point”という道で右折、突き当たりの小さなウェスタン風の街の中に受付があります。また、ヘリコプターのツアーは駐車場の真横にヘリポートがあるため迷うことはないでしょう。
イーグル・ポイント/Eagle Point
園内を巡るシャトルバスに乗車し、最初に到着するのがイーグル・ポイントです。ここにはガラス製の展望台“スカイウォーク”があり、まるでキャニオン上空を歩いているかのような体験ができます。高所恐怖症の方にはおすすめできませんが、ガラス底から下を見ると峡谷の底まで景色を楽しむことが可能です。このスカイウォークにはいくつかの注意点もあります。まず入場前に金属探知機による検査を通過してカメラ、携帯、飲み物などの所持品はすべて入場口前のロッカールームに収納しなければなりません。携帯を持ち込めないため、写真は専属のカメラマンに撮影してもらい出口で購入するという形式となっています。またガラスを傷つける恐れがあるため、ハイヒールでの入場は許可されていないので注意しましょう。
グアノ・ポイント/Guano Point
イーグル・ポイントの次は、グアノ・ポイントに到着します。このポイントには柵がないため、遮るものがない開けたグランド・キャニオンの絶景を眺められるでしょう。名称の「グアノ」とは、ミネラルを豊富に含んだコウモリの糞を意味します。このポイントは1959年後半、採掘を容易にするために作られたケーブルカーが米国空軍の事故により損傷した巨大な跡地です。なお、奥にある赤い岩山へのハイキングトレイルも楽しめます。グランド・キャニオン国立公園のお役立ち情報
グランド・キャニオン国立公園は、壮大な自然と豊富なアクティビティを楽しむことができます。旅行を満喫するためには、訪れる季節や滞在期間を考慮して計画を立てましょう。ここでは観光のベストシーズンや滞在期間、入場料金など、事前に知っておくと役立つ情報を紹介します。グランド・キャニオン国立公園のベストシーズン
グランド・キャニオン国立公園を観光する際のベストシーズンは、春(3月〜5月)と秋(9月〜11月)です。ハイキングや観光がしやすい穏やかな気候の時期がおすすめ。3月初旬頃は気温が低く雪も残りますが、観光客が比較的少なく快適に楽しめます。ハイシーズンの夏(6月〜8月)は昼夜の気温差が激しいため、衣類などでの温度調節が不可欠です。夏場はすべてのハイキングトレイルが開放されており、特にグランド・キャニオンをハードコアに楽しみたい方におすすめ。冬場は雪化粧をした山脈が眺められ、この季節ならではの美しい景色を堪能できます。ただし気温が非常に低いため、暖かい格好で挑みましょう。
グランド・キャニオン国立公園の入場料金
グランド・キャニオン国立公園は、訪れるエリアによって入場料が異なります。サウスリムとノースリムは乗用車1台につき35ドル。開放シーズンであれば、ノースリムとサウスリムの両方を見て回ることができ7日間有効です。グランド・キャニオン・ウエストは1人ずつ入場料がかかり、料金は購入時期や種類により異なります。
一番人気のパッケージはスカイウォーク体験が含まれたもので、入場料と併せて68ドル~71ドル。グランド・キャニオン・ウエストでは、そのほかにもスカイウォークの2階で提供される食事付きのものや、ヘリコプターツアー付きなど様々内容のツアーが揃っています。
滞在期間の目安
滞在期間の目安は訪れるエリアによって異なりますが、ラスベガスから最も近いグランド・キャニオン・ウエストエリアは数時間でも十分楽しめるため、グランド・キャニオン国立公園を1日で満喫したい方に最適です。ノースリムとサウスリムは各エリアに最低1日は宿泊し、公園内の主要な展望台巡りやハイキングをゆっくり楽しみましょう。またグランド・キャニオンは広大なため、スケジュールに余裕があれば3日間~1週間程度滞することをおすすめします。長距離ハイキングやラフティング、渓谷内でのキャンピングなどのアクティビティに参加して大自然を肌で感じてみましょう。