ルート66って?有名な理由やおすすめ観光スポットを紹介
更新日:2024/09/19
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アメリカ大陸を横断する旧国道、ルート66。イリノイ州からカリフォルニア州へ続くこの道には、アメリカの歴史や文化を肌で感じられるスポットが点在しています。セドナのパワースポットやグランド・キャニオンの息を吞むような大自然に魅了されたり、古き良きアメリカを彷彿とさせるダイナーやカフェで食事をしたり、ルート66のロードトリップは見どころ満載です。時間に余裕がある場合は、全区間走破を目指してみましょう。
ルート66とは
アメリカを代表する全長3,755kmの旧国道、ルート66。この道は“マザーロード(母なる道)”や“メイン・ストリート・オブ・アメリカ”とも呼ばれ、イリノイからカリフォルニアまで8つもの州を縦断しています。アメリカ大陸横断を夢見る人はもちろん、アメリカの絶景ポイントを巡りたい人にも人気のルートです。またルート66は「イージー・ライダー(1969年)」や「カーズ(2006年)」などの人気映画をはじめ、音楽や小説の舞台にも選ばれています。どこか懐かしいアメリカの街並みや壮大な自然美に触れることで、ルート66のロードトリップがより思い出深いものとなるでしょう。
なお、国道66号線(ルート66)は1985年に廃線しましたが、地元住民の活動により「ヒストリックルート66」として再生。現在は、復旧した建造物や跡地に多くのファンが訪れるようになりました。
ルート66の歴史
ルート66は、アメリカを象徴する歴史ある道路です。1926年の開通以来、この道はアメリカ西部の発展に大きく貢献してきました。ここではルート66の歴史を時代別に紹介します。道路開通の背景
1923年、アメリカで初の国道システムの設置が提唱されます。当時この道は”国道62号線”の名が候補に挙がっていましたが、覚えやすさ・聞きやすさ・言いやすさなどの理由からゾロ目の番号“66”が採用されました。その後、1926年にルート66は連邦最初の国道のひとつとして創設。翌年1927年には、舗装促進および利用者の増加を図る目的で”国道66号線協会”が発足し、プロモーションの一環としてアメリカ大陸を横断するバニアン・ダービーというレースが行われました。これらの政策によって交通量が増え、次第に活気づいていきます。
繁栄の時代
国道66号線協会によるプロモーションは成功を収め、利用者は右肩上がりに増加していきます。沿道にはレストランやモーテルなどが立ち並び、ビジネスチャンスに溢れました。また1938年には協会の努力が実り、それまで未舗装だったルート66は全米初の舗装が施され、多くの人々が利用し始めます。さらに、ルート66を舞台にした小説や映画も誕生。作品の中で呼ばれていた”マザーロード”は愛称として定着し、現在もその名で親しまれています。なお、第二次世界大戦中はカリフォルニアで軍事産業が発達したため、軍用品の運搬路としても利用されました。
衰退と廃線
繁栄を極めたルート66ですが、1956年にドワイト・アイゼンハワー大統領が連邦補助高速道路法に調印したことで状況は一変します。この調印により全米の主要な国道は次々と州間高速道路へ置き換えられていきました。この中にはルート66と並行する高速道路もあり、徐々に利用者は減少。さらに1984年、アリゾナ州ウィリアムズに建設された州間高速道路40号線の完成により、最後の一部であったアリゾナ州ルート66の役目も移行します。翌年1985年には、連邦政府によって正式に廃止が決定しました。
復活への道
廃線後のアリゾナ州では、セリグマンで床屋を経営していたエンジェル・デルガディーロ氏が中心となり、アリゾナ州ヒストリックルート66協会を立ち上げます。1987年11月には、アリゾナ州政府によって旧国道ルート66は歴史的道路に指定。その後1992年からは観光用道路として整備され、再び有名な道路として復活しました。現在は、アメリカを象徴するロードトリップのルートとなっています。
ルート66沿いの都市(起点~終点)
ルート66は、アメリカの文化と歴史を象徴する道路です。シカゴからサンタモニカを結ぶ長い道中には、魅力溢れる主要都市が複数あります。ルート66の出発点シカゴでは、都会的な街並みの中に点在する歴史的建造物やアートを鑑賞し、ミズーリ州セントルイスでは「アメリカ西部への門」と呼ばれるゲートウェイアーチやアメリカ開拓の歴史を学べる西部開拓博物館を訪れましょう。
また、アリゾナ州セリグマンは映画「カーズ」のモデルにもなった街です。古き良きアメリカを感じさせる雰囲気が魅力で、ユニークなルート66グッズなど観光客向けのお土産屋さんも多数あります。地元住民にも人気のハンバーガーショップ“デルガディーロズ・スノーキャップ”は、ランチや休憩などで立ち寄ると良いでしょう。
なお、サンタモニカにある木造の桟橋“サンタモニカ・ピア”の近くには、ルート66の終着点を示す看板があります。このエリア内には、遊園地や水族館、レストランなどもあり、映画やドラマのロケ地としても有名です。また旅の終わりを示す看板の近くでは、記念撮影を楽しむ観光客で賑わっています。
ルート66周辺の絶景スポット
ルート66の走行中には、息を呑むような美しい自然景観やアメリカ大陸の壮大さを垣間見ることができます。世界有数の絶景スポットにも出会えるため、事前に立ち寄りたいスポットを確認し計画を立てておきましょう。ここでは、ルート66周辺のビュースポットを紹介します。グランド・キャニオン/Grand Canyon
ユネスコの世界遺産にも登録されている”グランド・キャニオン”は、その圧倒的な美しさで世界中の観光客を魅了し続けている人気観光スポットです。深さ約1.6km、全長約446kmの大峡谷には、数百万年にも及ぶ地層の歴史が刻まれています。太陽の光によって絶えず変化する岩肌の表情も見どころのひとつ。この場所は日々訪れる人々に感動体験を与え続けています。セドナ/Sedona
巨大な赤い岩山が有名な”セドナ”は、「地球上で一番美しい場所」や「全米で最も美しい町」とも呼ばれる緑豊かな街です。エネルギーの渦が集まるパワースポット“ボルテックス“も人気があり、心身の癒しを求めて多くの人が訪れます。そのほかにも、ハイキングやマウンテンバイキングなどのアウトドアアクティビティ、アート体験も可能で、観光の醍醐味が詰まった街と言えるでしょう。なお、ルート66からのアクセスも容易なので、ロードトリップの目的地としても最適です。アンテロープ・キャニオン/Antelope Canyon
アリゾナ州ペイジ近郊に位置する”アンテロープ・キャニオン”は、鉄砲水により削り出されて造られた壮大な渓谷です。夏場の特定の時間帯に差し込む太陽光”ザ・ビーム”が有名なスポットで、幻想的な光の演出を楽しむことができます。また、波状の岩壁は自然のアートワークとしても称賛されており、写真家やアーティストにも人気です。ただし、この地はナバホ族が管理する“ナバホ・ネイション”の領域内のため、見学の際はナバホ族によるツアーガイドが必要となります。訪れる予定がある場合は事前の予約を忘れないようにしましょう。モニュメントバレー/Monument Valley
ユタ州とアリゾナ州の境界に位置する“モニュメントバレー”。独特な形をした3つの巨大な岩“ピュート”は多くの映画や写真に登場し、アメリカ西部を象徴する風景としても有名です。壮大な自然を存分に堪能したい場合は、バレードライブ(パーク内の道路)を走行し、ビュースポットなどに立ち寄りましょう。なお、バレードライブは未舗装の道が続くため、レンタルするなら4輪駆動車のSUVがおすすめです。ルート66沿いのおすすめグルメ
ルート66のバレードライブは、観光だけでなく食事も醍醐味のひとつ。道中にあるアメリカンカフェやレストランで名物グルメを堪能しましょう。ここでは、ルート66沿いで人気のレストランやカフェを紹介します。
ジェフズ・プレイス・アット・ゴールディーズ/Jeff’s Place at Goldie’s
“ジェフズ・プレイス・アット・ゴールディーズ”は、アリゾナ州ウィリアムズのルート66沿いに位置するアメリカンダイナー。1950年代の古き良きアメリカを感じさせる外観と、ルート66関連の装飾が至る所に施された店内が特徴的です。またテーブルやソファー、カウンター席などもアメリカンアンティーク家具で統一されているため、より一層観光気分が味わえます。なおメニューは、ステーキやハンバーガー、サンドイッチ、オムレツなど比較的クラシックなアメリカ料理を楽しめます。特におすすめはステーキアンドエッグです。アメリカらしい朝食でお腹を満たして、長距離ドライブに備えましょう。営業時間:午前7時〜午後9時(月~日曜日)
定休日:なし
公式ウェブサイト:Bellagio Hotel & Casino
ブラックベア・ダイナー/Black Bear Diner
キングマンに位置する“ブラックベア・ダイナー”は、まるで森の中にあるロッジのような内装が魅力的です。アットホームな雰囲気と種類豊富なメニューで旅行者から親しまれており、アメリカンスタイルの朝食やランチ、ディナーを味わえます。お店のおすすめはフライドステーキです。牛肉とチキンの合挽き肉を油で揚げ、その上にグレイビーソースがかかったステーキはまるでメンチカツのよう。揚げたての衣はサクサク食感で、中は肉汁たっぷりでジューシー。一度食べたら病みつきになること間違いなしです。サイズが大きいためシェアして食べると丁度いいでしょう。デルガディーロズ・スノーキャップ/Delgadillo’s Snow Cap
1953年にセリグマンで開業したハンバーガーショップ“デルガディーロズ・スノーキャップ“は、ルート66を代表するグルメスポットのひとつ。ハンバーガーのロゴや「ROUTE66」の文字が描かれた外観と、カラフルでユニークな装飾が施された店内が魅力的なお店です。バーガーやフライ、シェイクなど、メニューの種類も豊富。なかでも、トリティーアから肉が溢れるほどボリューミーなタコスが特におすすめです。また、店外にはクラシックカーがずらりと並んでおり視覚的にも楽しめます。営業時間:午前10時〜午後6時(月~土曜日)、午前10時〜午後5時(日曜日)
定休日:なし
公式フェイスブック:Delgadillo’s Snow Cap
ルート66沿いの美術館・博物館
ルート66沿いには、アメリカの歴史と文化が詰まった美術館や博物館が点在しています。旅の途中に立ち寄ることで理解が深まり、ロードトリップをより豊かなものにしてくれるでしょう。ここでは、ルート66沿いにあるおすすめの美術館や博物館を紹介します。
ルート66博物館/Historic Route 66 Museum
キングマンに位置する“ルート66博物館”。館内ではルート66に関する古い写真や資料を通じて、この旧国道がアメリカ社会や文化に与えた影響を学ぶことができます。フロアは1階と2階に分かれており、入口がある2階ではルート66の歴史を、1階では電気自動車の展示を楽しむことが可能です。電気自動車で有名な企業“テスラ”の2008年モデル”ロードスター”などの展示もあり、小さい区画ながらも車好きには堪らない空間となっています。入場料:大人(13~59 歳)$10/シニア(60 歳以上)$6/子供(12歳以下)無料
営業時間:午前9時〜午後4時(月~日曜日)
休館日(定休日):大型の祝日
公式ウェブサイト:Historic Route 66 Museum
メテオ・クレーター/Meteor Crater
アリゾナ州にあるメテオ・クレーターは、約5万年前の隕石の衝突によってできたと言われています。目の前に広がる超巨大な穴を見ると、想像を超える衝撃だったことをより身近に感じられるでしょう。隣接する博物館では展示物を見学することが可能です。また、館内ツアー(所要時間:30分〜40分)や4Dシアターを通じて、隕石と地球、宇宙について楽しく学ぶことができます。入場料:大人(13歳~59歳)$29/シニア(60歳以上)$27/子供(6歳~12歳)$20
営業時間:午前8時〜午後5時(月~日曜日) ※感謝祭(11月の第4木曜日)は正午まで
休館日:クリスマス
公式ウェブサイト:Meteor Crater
モハヴェ歴史芸術博物館/Mojave History and Arts Museum
アリゾナ州キングマンに位置する“モハヴェ歴史芸術博物館”は、北西アリゾナの遺産を保存し、歴史と芸術を紹介することに焦点を当てています。先史時代(紀元前3千年以前)から現代に至るまでの発展を示す、多彩なジオラマや壁画、多数の工芸品を収蔵。また、先住民ホピ族のネックレスや金鉱石のサンプル、有刺鉄線、ウィルカーソンの歯科椅子などが展示され、アリゾナ州にまつわる貴重な品々を見ることができます。屋外には牧畜や鉱業機械、周辺で採掘されていた鉱山のレプリカ、1923年製の木製車掌車などが展示されているのも特徴です。入場料:大人(13~59 歳)$10/シニア(60 歳以上)$6/子供(12歳以下)無料
営業時間:午前9時〜午後4時(火~土曜日) ※最終入場は午後3時30分まで
休館日:月曜日、日曜日
公式ウェブサイト:Mohave Museum of History and Arts
ナバホ郡歴史協会/Navajo County Historical Society Museum
アリゾナ州ホルブルックに位置する“ナバホ郡歴史協会”。旧ナバホ郡裁判所に収められた多様な歴史的工芸品を収蔵しています。2億年以上前の化石をはじめ、アナサジ、アパッチ、ホピ、ナバホの文化と工芸品、古い郵便ポスト、初期の電話交換機、初期のキッチン用品、1927年製のビクトローラを含む居間のコレクション、当時の薬局など、ルート66の歴史に関するものも含めてさまざまな品物を展示。主に生活にまつわる展示が中心で、「人民博物館」としても知られています。さらに、1976年まで使用されていた古い刑務所の見学ができるのもこの博物館ならではの体験と言えるでしょう。
入場料:無料
営業時間:午前9時~午後5時(月~日曜日)
休館日:なし
公式ウェブサイト:Navajo County Historical Society Museum
ルート66走行時に知っておきたいポイント
ルート66のドライブは、距離や訪れたい観光スポットなどを考慮した計画を立てることが大切です。ここでは、長い旅路を満喫するために知っておきたいポイントを紹介します。走破に必要な時間
ルート66を全区間走破(そうは)するには、約40時間必要となります(※時速100kmで運転し続けた場合)。往復だけで最低2週間、道中の観光スポットをゆっくり満喫する場合は最低3週間が目安です。事前にルート 66 の地図でルートを確認し、訪れたいスポットをリストアップしておくとスムーズ。なお、迂回路が必要な区間もあるため案内表示に注意を払うことも忘れないようにしましょう。
一部だけ走る方法
特定の区間だけを走行する場合は、サンタモニカなどの主要都市を起点や終点として選ぶと良いでしょう。ロサンゼルス国際空港(LAX)へのアクセスも良くレンタカーの手配も容易なため、入国後すぐに出発することが可能です。例えばカリフォルニア州からアリゾナ州までの区間であれば、グランド・キャニオンなどの絶景スポットに立ち寄れると同時にそのほかの観光地までの運転時間も減らすことができます。走破(そうは)が目的でない場合、10時間続けて運転するよりも数回に分けて運転した方が快適で安全です。
レンタカーの借り方
レンタカーを借りる際は、運転免許証とクレジットカードが必要です。現地の日系レンタカー会社であれば、国際運転免許証の提示でレンタカーを利用できます。予約はオンラインで行うと便利。万が一の事故やトラブルに備えて保険も適切なプランを選びましょう。
また、借りる車種はSUVを強く推奨します。アメリカを横断するルート66は、大型長距離トラックが頻繁に通るため風の煽りを受けやすく、小さい車ではトラックの車輪に飲み込まれたりハンドルを取られる危険性があります。
ルート66ドライブのベストシーズン
ルート66ドライブに最適な時期は春(3月〜6月)と秋(9月〜11月)です。気候が穏やかなので快適な旅が期待できます。特に、色彩かで美しい景色を堪能できる春はおすすめの季節。ハイシーズンである夏は観光客で賑わいますがアリゾナ周辺はモンスーンの季節となり、嵐の中を運転しなければならない可能性があるため注意が必要です。
迷子になった時の対処法
ルート66を走行中に携帯の電波が切れることは珍しくありません。走行場所が分からなくなった場合を考慮して、事前にオフライン通信や紙の地図を用意しておきましょう。また、道を尋ねる場合に備えて基本的な英語表現や目的地の名前を覚えておくと安心です。さらにアメリカの高速道路は原則、奇数が南北方向・偶数が東西方向を表しているので知っておくと便利でしょう。