キラウエア火山とは?行き方やハワイ火山国立公園の観光情報を解説
更新日:2024/10/09
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ハワイ諸島は海底火山が隆起して形成された島々です。太平洋にある”ホットスポット”と呼ばれる吹き出し口から流れ出た溶岩が積もり海上まで上昇したものが島となり、数百万年という長い年月をかけて現在のハワイ諸島を作り出しました。なかでも火山の迫力を体感するなら、世界遺産としても知られる“ハワイ火山国立公園”は見逃せません。この記事では、壮大で神秘的なキラウエア火山とハワイ火山国立公園の魅力を詳しく紹介します。
ハワイ火山国立公園(Hawaii Volcanoes National Park)とは?
ハワイ火山国立公園は、”キラウエア(Kilauea)”と”マウナロア(Maunaloa)”の2つの活火山を有する国立公園です。ハワイ州ハワイ島南部に位置し、総面積は約35万4,461エーカーにも及びます。1916年に開園したこの公園は、1980年にユネスコ“ハワイ諸島生物圏保護区”に指定されています。さらに地学的、生物学的に重要な場所と認められ、1987年にはユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。現在はハワイを代表する観光スポットとしても知られており、宿泊や食事ができる“ボルケーノ・ハウス”や噴煙を上げるカルデラ(火口)が見られる展望台、海へ下るドライブが楽しめる“チェーン・オブ・クレーターズ・ロード”、複数のトレイルコースなど見どころが盛りだくさん。2023年には162万294人が訪れています。観光する際は、まずキラウエア火山側の入口にある“キラウエア・ビジターセンター”の地図で訪れたい場所や最新の火山噴火状況を確認しましょう。
入場料:一般車両$30/バイク$25/徒歩または自転車$15
※入場パスの購入が必要です。パスの購入は、クレジットカードまたはデビットカードのみ利用可能です(現金不可)。
営業時間:24時間 (※ビジターセンターは午前9時~午後5時まで営業)
定休日:なし
公式ウェブサイト:Hawaii Volcanoes National Park
キラウエア火山(Kilauea volcano)とは?
ハワイ島の南東部に位置する“キラウエア火山”は、現在も面積を広げ続ける世界で最も活発な活火山です。標高1,247m、カルデラ中心部の大きさは縦4.7km、横3.1km、深さ165m。これはハワイ火山国立公園で最も巨大なカルデラです。キラウエア火山の起源には諸説ありますが、約28万年前に海底で堆積し約10万年前には海面に到達したと考えられています。記録されている最初の噴火は1823年。1983年以降は50回以上も噴火しています。このように長い年月をかけて噴火を繰り返すことで面積を広げ続け、その規模は富士山の45倍以上となりました。なお、ハワイでは火の女神“ペレ”が住むとされ、古代より聖地として崇められています。
また、キラウエア火山は非爆発性の楯状火山としても有名です。穏やかに噴火し溶岩がゆっくりと流れ出るため“世界で一番安全な火山”と言われています。しかし過去には集落への被害がおよび、2018年の噴火ではプナ地区のレイラニ・エステーツとカポホ周辺の住宅地が破壊、カポホ湾が埋まりました。
キラウエア火山のおすすめポイント
キラウエア火山の周辺では、展望台やハイキングコースを楽しむほか、ペトログリフやカルデラの周囲をドライブするなど様々な楽しみ方があります。ここでは、見どころ満載のキラウエア火山のおすすめスポットを紹介します。ハレマウマウ火口(ケアナカコイ展望台/キラウエア展望台)/Halemaumau Crater(Keanakako’i Overlook/Kilauea Overlook)
”ハレマウマウ火口”は、キラウエア・カルデラ内にある直径900mの火口。ハワイでは、火の女神”ペレ”の住処とも言われる聖なる場所です。ハワイ語で”ハレ”が家または住処、”マウマウ”は”アマウマウ”の短縮形で”アマウ”というシダを指しています。ここは2018年の噴火以降もクレーターが広がり続けています。
ハレマウマウ火口に最も近い見学スポットは“ケアナカコイ展望台”です。ここは車両禁止区域のため、徒歩または自転車でのみ訪れることができます。車の場合は、キラウエア・ビジターセンターから西へ約3.7km進んだところにある“キラウエア展望台”がおすすめです。最も標高が高い場所からキラウエア・カルデラを見下ろせる人気のビュースポットとなっています。
マウナ・ウル火口/Mauna Ulu Crater
マウナ・ウルはハワイ語で「成長している山」を意味します。“イースト・リフト・ゾーン(東の割れ目帯)”に位置し、深さは約30m。1969年5月24日、チェーン・オブ・クレーターズ・ロード付近の森に亀裂が入り、溶岩が沸き上がって噴火口となったのが起源です。その後1974年までの約5年にわたり噴火が続き、現在は約122mの高さにまで隆起しました。
マウナ・ウルから流れ出た溶岩はマウナ・ウルの駐車場だけでなく、チェーン・オブ・クレーターズ・ロード沿いの”ケアラコモ展望台”、”アラヌイ・カヒコ”、”ムリワイ・ア・ペレ”、”ホーレイ・パリ”などからもことができます。スポットごとに、マウナ・ウル火口の様々な表情を見ることができるのもポイントです。なお、火口から海に向かう溶岩台地の上を歩くことも可能ですが、整備された道ではないため登頂の際は注意が必要です。
サーストン・ラバ・チューブ(溶岩洞)/Thurston Lava Tube
クレーター・リム・ドライブの東端に位置する”サーストン・ラバ・チューブ”は、自然が創り出した溶岩トンネル(ラバ・チューブ)です。約500年前に発生して流れ出た溶岩の外側が固まり、内側は筒のような空洞になりました。ラバ・チューブ内にあるトレイルは、シダが生い茂る森の散策路と併せて所要時間は約30分。パワースポットとしても知られているため、気軽に訪れてみましょう。
スチーム・ベント/Steam Vents
別名「ペレの吐息」とも呼ばれる“スチーム・ベント”。ここでは、マグマで加熱された岩石に雨水が浸透することで発生した水蒸気を見ることができます。大地の裂け目から水蒸気がモクモクと噴き上がる様子は、噴気孔の周りを囲む柵から覗くことも可能。雨が降った寒い日には特に大量の水蒸気が見られ、気候によって発生量が異なるのも特徴です。なお、スチーム・ベントはキラウエア・ビジターセンターからクレーター・リム・ドライブを西へ約1.3km進んだ場所にあります。
ハワイ火山国立公園の世界遺産情報
上述の通り、ハワイ火山国立公園は、キラウエアとマウナロアの2つの火山を含む世界で最も活発な火山地帯です。なかでもマウナロアは、海底から計測すると世界で最も大きな火山となります。
公園の面積は8万7,940ヘクタール。ハワイ固有種の生物や植物が生息・生育し、地質学的価値を保護するためには十分な広さです。1987年にはユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録され、1980年には生物保護区に指定されています。なお、絶滅危惧種でハワイ固有種の“ネネ”の保護活動が行われていることでも有名。地形・地質と生態系の特性、現在に至るまでの噴火活動が地球の歴史を知る上で重要な役割を担っていることが世界遺産に選ばれた理由です。
英語名 | Hawaii Volcanoes National Park |
面積 | 87,940 ha |
登録区分 | 自然遺産 |
IUCN分類 | II |
登録基準 | Viii |
登録年 | 1987 |
公式サイト | Hawaii Volcanoes National Park |
公園内地図 | Hawaii Volcanoes National Park Map |
公園はアメリカ国立公園局が設立した有機法に基づき、地質資源の保護や訪問者のモニタリング、生態系の保全など徹底して管理されています。なお、園内は修繕工事や火山活動、天候などにより一部エリアが閉鎖される場合があります。随時更新される公式ウェブサイトやキラウエア・ビジターセンターで事前に確認しておきましょう。
公園内閉鎖エリア:Alerts & Conditions (National Park Service)
ハレマウマウ火口の時期ごとの変化
ハレマウマウ火口は、キラウエア火山の主要なカルデラ“キラウエア・カルデラ”内にあります。この巨大なカルデラ(火口より大規模な陥没地)は、噴火を繰り返し2018年〜2020の間に溶岩湖を作り上げたことでも有名です。ここでは、2018年の噴火から始まった約3年間にわたるハレマウマウ火口の変化を解説していきます
2018年
5月初旬、ハレマウマウ火口に約10年間存在していた溶岩湖が流出を開始。続いて”レイラニ・エステート”の分譲地で、最初の亀裂とプナの下部で大規模な噴火が起こります。山頂を支えるマグマが少なくなり、ハレマウマウ火口が崩壊。約28時間ごとにカルデラ内の地面が沈み、ハレマウマウ火口は1,600フィート(488m)陥没、噴火終了後の直径は2倍以上になりました。
2019年
8月1日、USGSハワイ火山観測所(HVO)によってハレマウマウ火口で水の泡の増加が発見されます。複数あったターコイズ色の小池が、時間の経過とともに1か所にまとまり巨大化。その後、深さ約160フィート(約49m)にまで成長し、近代史上初の湖の出現となりました。
2020年
12月20日にHVOがハレマウマウ内で発光を観測。溶岩が火口に流れ込むと、2019年から残っていた湖は蒸発し、1週間も経たないうちに約600フィート(約182m)の溶岩湖へと変わりました。
日本からキラウエア火山への行き方
日本からキラウエア火山を訪れる場合、ハワイ島で利用できる空港はエリソン・オニヅカ・コナ国際空港とヒロ国際空港の2か所です。直行便でハワイ島へ向かう場合は、エリソン・オニヅカ・コナ国際空港を利用しましょう。エリソン・オニヅカ・コナ国際空港からキラウエア火山があるハワイ火山国立公園までは車で約2時間です。エリソン・オニヅカ・コナ国際空港からハワイ火山国立公園までのルート
オアフ島ホノルルを経由する場合、到着地はヒロ国際空港になります。日本からヒロ国際空港への直行便はなく、ホノルル空港で乗り継ぎ、約1時間で到着します。ヒロ国際空港からハワイ火山国立公園までは車で約50分です。
そのほかのハワイのおすすめ火山
火山島と呼ばれるハワイには、キラウエア火山以外にも多くの火山があります。ここでは、ハワイで有名な火山を厳選して紹介します。
マウナロア山/Mauna Loa
ハワイ火山国立公園に属する“マウナロア山”は、体積約7万5,000立方キロメートルの活火山。その規模は富士山の50倍以上とも言われ、地球最大の体積を持つ楯状火山です。ハワイ語で”長い山”を意味し、2022年には38年ぶりに噴火があったことでも知られています。マウナロア山のハイキングは片道約5時間ものハードコースなので、十分な下調べと準備をして挑みましょう。
マウナケア山/Mauna Kea
”マウナケア山”は標高4,205kmのハワイ諸島で最も高い山です。晴天率が高く空気が澄んでいることから、天体観測に適した場所としても有名。そのため、日本の国立天文台“すばる望遠鏡”を含む世界各国の天文台が13基設置されています。またハワイアンの聖地でもあるマウナケア山は、美しい星空が見られる「宇宙に一番近い場所」としても人気の観光スポットです。山頂から望む星空や日の出は一生の思い出となることでしょう。
フアラライ山/Hualalai
ハワイ島西部に位置する”フアラライ山”は、ハワイ島にある3番目の活火山。コナ地区のリゾートエリアからも見ることができます。最後に噴火したのは1801年。“フアラライ・リゾート”に広がる溶岩台地は、最後の噴火によって造られました。キラウエア火山の噴煙が北東から吹きつける風に乗って山に隠れることから、ハワイ語で“恥ずかしがり屋”を意味する“フアラライ”と名付けられています。この山の裾野はコナコーヒーの産地です。なお、中腹から頂上までは私有地のため、観光で訪れることはできません。
コハラ山地/Kohala Mountains
”コハラ山地”はハワイ島最北端にある標高1,637mの火山です。最後の噴火は約12万年前と考えられています。”キラウエア”、”マウナロア”、”マウナケア”、”フアラライ”、”コハラ山地”の5つの楯状火山がハワイ島を造り上げました。なかでもコハラ山地は最古の火山と言われ、侵食が進んだ深い渓谷に絶景ポイントが点在しているのが特徴です。なお、コハラ山地北麓のワイピオ渓谷はハワイの歴史的な聖地として知られています。ここは、カメハメハ大王が幼少期を過ごしたことから”王の谷”とも呼ばれる有名な観光スポットです。
ダイヤモンドヘッド/Diamond Head
オアフ島の人気ハイキングスポット“ダイヤモンドヘッド”もハワイの火山のひとつ。約30万年前に誕生したと考えられており、その後の火山活動によって火口の周囲に丘が形成されました。1900年代に軍用施設として利用されていた登山道や資材運搬用のトンネルなどが、現在のトレイルコースとなっています。初心者にも比較的易しいコースのため気軽に訪れてみましょう。眼下に広がる美しい海とホノルルの街を一望する絶景を満喫できます。
ハレアカラ火山/Haleakala
”ハレアカラ山”はマウイ島最高峰、世界最大級の休火山。直径約11km、幅約3km、深さ約800mの巨大なクレーターがあり、最後の噴火は1790年です。ハレアカラはハワイ語で”太陽の家”を意味し、古くから神聖な場所として多くの伝説が残っています。ハレアカラ国立公園に指定されている山と麓の海岸一帯は、マウイ島の主要観光地です。山頂までは舗装された道路が続くため、車で訪れることができます。ここでは、ハレアカラとハワイ島マウナケアで20年に一度咲く高山植物“ギンケンソウ”が見られます。山頂周辺には、鉄分を多く含む火山岩で形成されたエネルギースポット”マグネティックピーク(電磁波を放出するため立ち入り禁止)”や、砂の波紋”スライディングサンド”も観察でき、展望台から眺める光景は美しく神秘的です。
西マウイ山地/West Maui Mountains
西マウイ山地は、約170万年前に形成された楯状火山です。ハワイ語で”水の貯蔵庫”を意味する”マウナ・カハラワイ”とも呼ばれています。最後の噴火は約32万年前だと考えられており、周辺には豪華リゾートエリアとして知られるラハイナやカアナパリがあります。記憶に新しい2023年には大規模な山火事で被害を受けましたが、現在はラハイナを除くエリアで観光客の受け入れが再開されています。
東モロカイ火山/East Molokai Volcano
西モロカイ火山と東モロカイ火山の2つの楯状火山によって構成されるモロカイ島。東部の北側に世界で最も高いと言われる絶壁が山頂から海まで続いています。東モロカイ火山の一部”カマコウ山”は、標高約1.5kmを誇るモロカイ島で最も高い山です。ここはハワイ州の中でも多雨地域のため、絶滅危惧種を含む植物が生い茂る緑豊かなエリアとなります。東端にはハイキングトレイルを楽しめるハラワ渓谷があり、観光の際に大自然を満喫するのも良いでしょう。